不動産代理店向け 業務効率化(DX)システム

不動産代理店向け 業務効率化(DX)システム
クライアント非公開
業種不動産
規模SMB
技術スタック
RetoolNext.jsAWS LambdaAWS API GatewayAWS S3AWS DynamoDBAWS FargateAWS Step FunctionsAWS SQSTypeScriptTailwind CSSSupabase DatabasePrismaFirebase Auth

背景

クライアントの不動産代理店は、売買物件の仲介事業を中心に展開しており、日々多くの物件情報を収集しながら顧客への提案活動を行っています。事業の性質上、扱う物件数は膨大であり、タイムリーな情報更新と的確な顧客マッチングが求められる一方で、これまでの業務フローには多くの課題が存在していました。

従来は Octoparse を用いて複数の不動産情報サイトから物件データをスクレイピングし、収集したデータをスプレッドシートで管理するという運用を続けていました。しかし、物件数が増えるにつれてデータの煩雑化が進み、検索性の低下や更新作業の属人化が顕著になっていきました。複数の営業担当者が同じスプレッドシートを共有して作業するため、データの整合性を保つことも難しく、業務のボトルネックとなっていました。

さらに、営業資料の作成やメルマガでの物件紹介といった定型業務にも多くの時間が割かれており、営業担当者が本来注力すべき顧客との対話や商談に十分な時間を確保できない状況でした。また、顧客からは「物件の立地や周辺環境をもっと直感的に理解したい」という声が多く寄せられており、従来の一覧表示だけでは伝わりにくい地理的な情報を、わかりやすく提示する仕組みが求められていました。

今後は複数支店での展開も視野に入れており、エリアごとの運用や新たな物件収集ソースの追加にも柔軟に対応できる、スケーラブルなシステム基盤の構築が急務となっていました。これらの課題を解決し、業務の効率化と顧客体験の向上を両立させるべく、ゼロイチラボとともに DX プロジェクトをスタートすることとなりました。

ソリューション

プロジェクトは 2023 年 12 月に開始し、まず業務フロー全体の棚卸しと課題の可視化から着手しました。ゼロイチラボは、単なるシステム開発にとどまらず、要件定義の段階から参画し、クライアントの業務担当者とともに「あるべき業務の姿」を丁寧に設計していきました。

システムの中核となる物件データベースには PostgreSQL を採用し、スクレイピングで収集した物件情報を構造化して一元管理できる環境を構築しました。これにより、データの重複や不整合を防ぎ、リアルタイムでの検索や絞り込みが可能になりました。また、Retool を活用した管理画面を開発することで、エンジニアでなくても直感的に物件データを操作できる仕組みを整え、業務の属人化を解消しました。

営業支援機能として、メルマガ用の物件紹介文や営業資料(PDF)を自動生成する仕組みを導入しました。これまで手作業で行っていた定型業務を大幅に削減し、営業担当者が顧客対応や提案活動に集中できる環境を実現しています。自動生成された資料は、誰が作成しても同じ品質を保てるため、チーム全体のアウトプットの標準化にも寄与しました。

さらに、顧客向けには Google Maps を基盤とした地図アプリケーションを開発しました。物件情報を地図上にマッピングすることで、立地や周辺環境を視覚的に理解できるようになり、従来の不動産サイトにはない直感的な検索体験を提供しています。学区情報や公共施設などのレイヤーを重ねて表示できる機能により、顧客は自分のライフスタイルに合わせた物件探しが可能になりました。また、営業担当者も同じ地図アプリを使って顧客に提案できるため、商談の場でもスムーズなコミュニケーションが実現しています。

開発にあたっては、AWS のサーバーレスアーキテクチャを活用し、スケーラビリティと運用コストのバランスを重視した設計としました。Next.js と TypeScript を用いたモダンなフロントエンド開発により、ユーザー体験の向上と開発効率の両立を図っています。

結果

新しいシステムは 2024 年初頭に本格稼働を開始し、業務フロー全体に大きな変革をもたらしました。

最も顕著な成果として、物件管理に関わる作業工数が 70%以上削減され、従来半日かかっていた業務が数十分で完了するようになりました。スプレッドシートでの手作業が不要になり、営業担当者は顧客対応や商談といった本来の業務に集中できる時間が大幅に増加しています。資料作成の属人化もなくなり、誰でも同じ品質の提案書を作成できるようになったことで、チーム全体の生産性が向上しました。

地図ベースの物件検索アプリケーションは、顧客から高い評価を得ており、「物件の周辺環境がイメージしやすくなった」「学区を考慮した物件探しがしやすい」といった声が寄せられています。営業担当者からも、「地図を見ながら提案できるため、顧客との会話が弾みやすくなった」「提案スピードが大幅に向上した」との声が上がっており、商談の質と量の両面で改善が見られています。

さらに、データベース化により蓄積された物件情報や顧客の検索履歴は、今後のマーケティング施策や事業戦略の立案にも活用できる貴重な資産となっています。

今後は、物件収集の対象エリアを拡大し、複数支店での利用を前提としたさらなるシステム基盤の強化を進めていく予定です。また、登記情報を活用した新規リードへの自動アプローチや、AI を活用した物件レコメンド機能など、営業活動のさらなる自動化と高度化に向けた取り組みも計画しています。ゼロイチラボは引き続き、業務効率化と顧客体験の向上を両立するパートナーとして、同社の DX 推進を支援していきます。